最近，このブログで科学的な話をしなくなったのは，ある女性週刊誌に連載を始めてしまったということが大きい。
その連載はこのブログで書く内容と似ているので（ただしもっと平易で，引用文献も記していないが），重複を避けたい，という単純な理由である。しかも，その連載はネット配信もされる可能性があるので，このブログでは科学的言説はどうしても書きにくい。
そのせいもあって，ここでは私的なことや情緒的なことを書くようになり，しかも，更新も遅い，といった感じになり，このブログの「意味」を再考している最中である－－「さまよう心」の中で・・・。
それで，今回も雑記的になって申し訳ないが，そして，かなり唐突ではあるが，「科学者魂」に関係した話を多少してみたい－－こうしていると色々難しいことが出てきて，科学者魂のことを思い巡らすことが（さまよう心にあって）時々あるからだ。
例えば，多少出演させて頂いているTV番組でも，それなりに続けていると，まさに色々と難しいことが出てきてしまう。
とくに科学的言説をうまく伝えられない，というもどかしさ・無力感は強く，科学者としてできる限り誠実に発言するよう努力し続けているが，やはり，かなり難しい。いわんや「科学者魂」を伝えることは至難の業で，悩ましい限りである。
また，人間関係でも難しいことが多少は出てきたりするので，やや悩ましい。
ただ，人間関係はさほど大きな問題ではない。
科学者魂の基底には「人類への貢献」「人類の幸福を目指す」という思いが厳然としてある。なので，どのような人間関係でも，相手に幸福になってもらいたい，良い方向に進んでほしい，良くなってほしい，といった思いが強く，基軸にもなるからだ。
これは，大学院生の指導でも常に働いていた思いでもある。大学院生の意気に感じれば，多くのことを犠牲にして，大学院生を科学者のレベル（最低，欧米でポストドクに採用されるレベル）まで向上させるべく日々努力するのが当然であった（今は大学に属しておらず，大学院生指導ができないのは寂しい限りだけれど・・・）。
ついでに言えば，というか，あえて言うまでもないことではあるが，他者を貶めることや足を引っ張ること，あるいは嫉妬や誹謗中傷などとは当然ながら無縁である。重要なのは，将来の自分が今の自分より絶対的に発展していることであって，他者を貶めて自分を相対的に上げることなど全く無意味で，思いも及ばないことである。いわんや，嫉妬や誹謗中傷など，科学者の辞書には載っていない。
人間関係でも科学者魂が働くのは当然とはいえ，科学者魂は磨かなければ曇ってしまう。科学者魂は決して消えることはないが，曇ることはある。若い頃に徹底的に鍛えられたからといって，科学者としての態度が一時的に希薄になってしまうこともある。
なので，「日々是修行」が科学者魂に元々組み込まれているし，座右の銘の一つでもある（大学院生にもよく言っていたものだ）。
翻って今の私は，といえば，まさに修行が足りないと断じるしかない。
科学者魂を留め置くべく書き始めたこのブログにしても，ダメである。修行が足らなさすぎる。
日々是修行，という銘には今述べたこととは別の（さらに深い）意味合いもあるのだが，その意味合いを云々する以前に，修行が足りていないのが，今の自分である。情けない限りだが，足りていないことにメタ的に気が付いている点に多少は救いがある。
日々是修行再び，である。
